2011年

4月

23日

写真技術 #008 パンフォーカス

 

 

 

 

ボケの次には 当然 パンフォーカス=全ピント ですね。

 

現在の広告写真ではパンフォーカスの写真=合成写真が前程になります。合成だから感情直結型の写真にならないか、といえば決してそんなことはなく、しっかりとした色管理のもと、きっちり光の質と方向性および画面のパースペクティブをコントロールすることにより感情に訴えかける写真を制作することは可能なんです。

 

上記の原稿は TOYOTA トリノ五輪応援キャンペーン新聞30

段で4本つくりました。(他にスキージャンプ編、ボブスレー編があります) 2006年撮影です。 CD/ADは 畑野憲一さん です。

 

これ新聞30段(新聞見開き全面)なんで、かなり大きい紙を実際に切り抜いて首にかぶったりすることでフィギィアスケーターの気持ちになりきったり、実際手に持って逆さまになりエアリアルを疑似体験したり、というような仕掛け絵本使用になっている面白広告です。

(実際はそれをやってる人を見て回りが笑う、という裏コンセプトが。。爆笑)

 

当然。これだけ練られた企画ていうのは大好評で、

この年のカンヌ国際広告祭メディアライオン部門でブロンズ頂いたり、新聞広告賞を頂いたり その他賞レースをも総嘗めにした広告でもありました。

 

もちろんこの場合、僕の立ち位置ていうのは 素材を撮影しながら全体の絵作りを現場レベルでディレクションする、という撮影監督

というポジションで、こういう場合は フォトレッタチャーを誰に

するかで広告全体のシズルが決まってしまいます。

この時は日本No.1レッタッチャーと評価の高い栗山和弥さんが担当されました。

撮影自体も素材とはいえ手を抜く事など、いっさいなく スキー編は山梨県の鳴沢村スキー場の自然光で、スケート編は用賀10BANstでトップにストロボを直ウチで大量につるし、アリーナの光を再現して撮影しました。

そう、合成素材でもっとも重要なのは光の質と方向性なのです。

 

エアリアル編で言えば左右のストック、スキー板の雪質に対し、太陽光からの逆目の光の角度と、その光質の強さ、および雪の照り返した光とその質感が重要なポイントになります。

それは決してデスクトップ上で判断なんてできないのです。実際にロケに行きトリノの光を想像しながら自然光ベースで撮影するのが鉄則なんんです。太陽光の光はなにげに見えていますが、その複雑怪奇さに終わりも始まりも無く現場で見て判断するしか方法はないのです。

STでもできなくはないのですが、きっとその場合、感情に届くであろう面白みは半減されるのは確実でしょう。特に自然光の素材撮影においては、被写体から光源までの距離がもっとも重要なので、ロケでしかありえません。だって遠すぎるでしょ、太陽wwwww

 

逆にスケート編など室内光での素材撮影ではstで徹底した管理のもと、光の再現を都合良くコントロールするしか方法はないのです。

 

 

 

で、もう一丁。拙者撮影の原稿をば。

 

 

HONDAの軽自動車 NEW LIFEの前の型で2009年撮影です。

 

ADは 青木謙吾さん レタッチャーは 小川直之さん

照明が 野口博史さんです

 

車の撮影、しかもミニチュアとの合成によるパンフォーカスな絵作りなのでこのビジュアルの胆は

ずばり車の照明と合成後仕上がりとの一体感です。

 

レタッチャーの小川さんは京大工学部大学院でて、当時のCG合成ディフォルトスタンダード「ハイパーペイント」作ってた島精機に就職後、レタッチャーになられた バリバリな左脳をもちながら

静止画の情感表現に人生を捧げてるバリバリな右脳系のレタッチャーなのです。

 

で、照明は 大の友人でもある 野口くん。

(このページのフッター部分の写真、実はカメラ後ろにいるのが野口くんで、カメラ前にいるのが僕です爆笑)

車の撮影は写り込み命なので、その専門家集団にお願いするのが通常で、その一番巨大組織だったフォトム(今は解散)で僕と同世代ではNo.1照明マン。

こないだ授業中で出てた スポットあたってる日産のZ や レクサスの企業シリーズ、あとHONDAのヌルツヤピカな企業ロゴ(H の一文字のやつ)、最新のCR-Z やジョージクルーニーのオデッセイまで とにかく 車業界の媒体でゴージャスでピカピカしてる照明は 全て彼の手によるものです。

 

 

その小川さんと野口くんは別のレクサスなどの作業でも組んでいるので相性はバッチリ。そこに僕の世界観を乗っけて行くだけで絵は完成するのですが、やはりそこでもいつものごとく

「何をしたいか」が一番大事なんです。

手なんか全く動かさなくても「どうしたいか」を具体化する。

それがフォトディレクションなんです。

 

とはいえ、全体の設計図の構成、画角と美術との兼ね合いなど 具体的に廻さないといけないことは山盛りなので、そこはやはり経験という情報は不可欠なのですが。

実際この作業でも背景である人生ゲーム、パンフォーカスにするため手前からピンを送りながら撮影した15枚の素材をフォトショップ上で合成してたりします。それはあくまで背景だけの話で、車もボディやピラーや窓やなんやかや、全部、部分ごとにライティング変えて撮影しているので、全体ではかなり某大な数のレイヤー数になっています。

結果的に一発で撮られたようなインパクトのある上がりを目指し、店頭で目立つ!そこでも目的は一つなのです。

 

やはりどこまで言ってもデータの蓄積と分析がなによりも大切になるので皆さんも、きっちり撮影したデータを見返す癖を是非付けて頂きたいものです。