2011年

6月

01日

写真技術  記憶色

 

写真技術 記憶色

 

最近のデジカメにはカラーモードの中に、トイフォトやラフモノクロームなどの正確ではないけれど記憶に訴えかけるモードがありますが、あれはある意味正しいです。

 

フォトディレクションは色を記録することではなく、色を記憶に近づける行為だからです。

 

こないだ講義したとおり、人の記憶は非常に曖昧です。

なので大概の場合、あの時見た色身と違う!という不満が発生したりするものなのですが、

 

今回はココロが見た色身=記憶色について述べましょう。

 

 

 

ここに受講生の藤代さんの作品が有ります。解説は以下の通りです。

 

「005は私が出雲で撮ったものですが、何故か気に入っていて、現在デスクトップの背景画像にしています。
とのこと。
確かに出雲まで出かけ広い海に遭遇した時の開放感が感じられる作品です。
が、もろもろ荒が見えるのでそこを補正し、気に入ったであろう部分をより増幅し、伝わりやすい写真にレタッチしてみましょう。

 

 

まず気になったのが 水平線の傾き&コンデジ特有のレンズの歪みです。

 

コマンドT で水平をとったあと レンズ補正にて弓形収差方向に補正します。 この写真の場合は補正値 +5,00 です。

 

 

 

 

 

これで、大分すっきりしましたが、まだ何かが足りません。

 

はて、何が足りないのか。。

そこを考察する時間がフォトディレクションでは何よりも大切になります。

 

僕の解釈はこうです

岩の陰具合から午後か朝の深めの時間と推測され、その割には色身が浅い!

→ならばトーンを濃くしてみよう。

 

 

 

 

調整レイヤーのレベル補正にて 補正値 0,52 です。

 

中中雰囲気がでてきました!

 

 

で、またゆっくりと写真と向き合います。←ココ非常に大事です

 

そう!真ん中の波がビューポイントになってるではありませんか!

 

 

 

波を引き立たせるため、更にレベル補正(この場合0,75)調整レイヤーを掛けた上レイヤーマスクに円心上のグラデーションを掛ける事により、周辺部を焼き込み=中心部の波を引き立たせました。

 

波の部分が強調されより強いビジュアルになりました!

 

でもまた向き合います。いかに長く向き合うか、が最も必要なポイントになるのです!!

 

よくみると、岩の色身がなんだかデジっぽい感じに見受けました。でそれを補正してみましょう。

 

 

 

調整レイヤー 特定色域の選択でイエロー系のみマゼンタ+100 しました。

 

どうです!岩の存在感が空にマッチしたでしょ!!

 

濃い青空や海はマゼンタが非常に強いので、岩の色身をそちら方向に倒す事により、トーン全体の一体感を増したのです。

 

しつこく写真を見ながらトライ&エラーを繰り返しながらデータを貯めることにより、ワンランク上の記憶色を手に入れることができるのです!!

 

 

 

 

 

ここまででやっと 出雲の深い時間と深い海と空を 表現することに成功しました!

 

この上がりをみた藤代さんのコメントです。

 

 

「お忙しい中、わざわざ私の写真をレタッチして下さってありがとうございます。 見てびっくりしました。 あんなものでもこんなにも変わってしまうんですねぇ。いやいや、感動しました。久しぶりに感激しました。」

 

 

とのことでした。

 

思い出は常に美しく残す! 曖昧な記憶ならその方が幸福でしょ!

それがフォトディレクションの力であります。

 

 

 

 

 

 

次回、記憶色に留まらず、記憶の光にまで進化されている受講生 山口龍夫さんの写真をレタッチしながら 記憶の光を再現してみます。乞うご期待。